先輩、お久しぶりです


 的場さんはカゴの中にどっさり入ったファイルを荷台で押しながら、手を振って出て行った。


 私はやっと集中して作業ができると思いながら、机を拭いてから席札やペットボトル、コップをせっせと並べていた。


「うわ、藤井ごめん。俺午後から外出あるからここお前に任せていい?」

「はい、いいですよ。昼行ってきてください」

「すまん」


 そう言って上司の方は出て行ってしまい、またしても昂良先輩と二人きりになってしまった。


 気まずい……。


 あのエレベーターでのこと以降顔も合わせてなかったから、なおさら気まずい。


 お互い手を動かしながら、黙々と作業だけ続けている。
 何か喋りかけようと思っても何を話していいのか分からず、ひたすらセッティングを行うだけだった。


 とりあえず机周りの準備は出来たけれど、あとはパソコンを設置するだけ。


 チラチラと気にしながら昂良先輩のいる場所にノートPCを持って近づいた。


「こっちの作業していいですか?」

「……あぁ」


 特に私を見るでもなく、配線をひたすら束ねている。
 私もコードを伸ばしてパソコンに繋げていたけれど、その手を止めた。


「先輩」


 私の声に反応して、チラッと上目遣いにこちらを見た。


「……この間言ってた陵介先輩の連絡先ですけど、聞いたら教えても大丈夫だって言ってたのでまた教えますね」

「分かった」


 コードを箱に片付けながら応えている。


 ……なんか、無愛想じゃない? まあいいけど。


「そういえば、教えようにも私も昂良先輩の連絡先分からないんですけど」


 連絡を絶たれて数年。
 着拒されて連絡が取れなかったため、吹っ切るためにも先輩の番号は削除していた。


 そう言うと、またチラッと私を見た先輩。