「別に昂良先輩に心配してもらわなくても、決めるのは私ですから」
「アイツはお前が考えてるようなヤツじゃ――」
どうしてそこまでして否定するのか。
その言葉で私は見上げるかたちで睨みつけた。
「私が誰と付き合おうと、先輩には関係ないですよね」
「いや、だからっ――」
「私だって幸せになりたいんですっ! 放っておいてください!」
そう勢いよく言ったタイミングで、扉が開いたおかげで話は中断され、他の人が乗ってきた。
と同時に昂良先輩を残して私は咄嗟に飛び降りた。
後ろも振り返らず、早足で近くにあった非常階段を駆け上がった。
あの人にあんなこと言われる筋合いないし、私が誰と付き合おうと先輩には関係ない!
鼻息荒く勢いよく駆けあがったけれど、ヒールのまま昇るのもさすがに辛くなり途中で止まってしまった。
「はぁはぁ……」
息を整えるため、階段の途中で手摺にもたれた。
少し落ち着いてきたのか、もたれたまま真っ白な壁を見つめていると、頭も冷静になってくる。
やってしまった。
自分が幸せじゃないみたな言い方をして、先輩に八つ当たりをしてしまった。
決して先輩が悪いわけじゃないのに、なんであんなこと言ってしまったんだろう……。
おまけに的場さんと付き合うような素振りまで。
「何やってんだろ、私」
昂良先輩と再会してからの私は、妙に落ち着かない。



