先輩、お久しぶりです


 少し優越感に浸りながら会社のロビーに着くと、飲み干したカフェラテの空容器をゴミ箱に捨てた。
 そのまま開いていたエレベーターに乗り込むと、また同じように昂良先輩も乗り込んだ。


 二人きりの個室。
 何があるわけでもないけど、少し緊張してしまう。


「まだコーヒー好きなんだな」


 ふいに聞かれて、返答に困った。
 サークルにいた時は、コーヒーも好きだったがカフェ巡りの方が好きだったから。


「……特に好きってわけじゃないです。甘いものより飲みやすいだけなんで」


 ただ、苦い思い出が出来てからあまり飲まなくなったのは事実。けれどたまに飲みたくなる時がある。

 こういう息の詰まる雰囲気の時は特に。


「美味しいコーヒー店知ってるんだけど、行ってみないか?」

「え?」


 な、なに!? 突然。
 これって……どう受け取ればいいの?


「彼女と、一緒に行けばいいじゃないですか」

「今はいないよ」

「……」


 即答で答えられたけど、前はいたんだと思ってしまった。
 いや、私だっていたし普通か。


「考えておきます」


 そう言うと、昂良先輩は急にムスッとした顔になった。


「的場との食事は快諾して俺のは考えるんだな」


 なに子供みたいなこと言ってるんだろう。
 突然誘っておいて考えるって言っただけなのに、めんどくさいな。


「的場さんいい人そうですから」

「それって俺の方が悪いみたいな言い方だな」

「少なくとも優しいと思いますよ」

「……言っておくけどアイツ浮気は愛嬌って考えてる奴だぞ」

「浮気されるかどうかは、付き合ってみないと分からないじゃないですか」

「泣いて苦しむのはお前の方だぞ」


 なによ、それ。
 いかにも心配してそうな言い方しないでよ。