私が1年、昂良先輩が3年の時に大学の珈琲研究部で私たちは知り合った。


研究部というからには珈琲がものすごく好き……という理由ではなく、ただのカフェ感覚で気晴らし程度に参加していた。


もちろんコーヒーを飲むのも好きだし、実際カフェに行くのが楽しそうだと思って入ったが、約半数の人は他のサークルにも所属して、合間に珈琲研で気ままな活動をしているようなところだった。


部員は10人いたかどうか……。
活動出来ているのか不安になるほど、人気のないサークルではあった。


そして昂良先輩は背が高くて端正な顔立ち、さらにフットサルサークルにも入っていたこともあり、女の子たちからの人気は凄かった。
私もプレーする先輩をこっそり見たことがあったが、同一人物とは思えないほどカッコよかったのを覚えている。


そんな人気者が珈琲研に入っていることを、取り巻きの方々は誰も知らなかったらしく、表と裏の顔をうまく使い分けて活動していたらしい。


その裏の顔で活動(珈琲研)しているのを知らずに入った私は、昂良先輩目当てだと思われたのか、初めて会った時の第一印象はほんとに最悪だった。


「悪いけど、俺目当てで入ってきたんなら今すぐ辞めてもらうからな」

「……はい?ちょっと顔が良いからって、自意識過剰過ぎじゃないですか?そもそも先輩なんて眼中にありませんから、ご心配なく」

「はっ、そりゃ助かるわ。お前みたいなガキんちょ相手にして、図に乗られるのも迷惑だからな」

「誰もが先輩のこと好きだと思ったら大間違いですよ。先輩こそ勘違いしないでください!」


生来の気の強さでなにかと反発していた私は、先輩後輩関係なく言いたいことを言いまくっていた。


もちろん当初は犬猿の仲で話すのも嫌だったけれど、本当になんとも思ってないのが分かったのか、徐々に昂良先輩も冗談を言って笑って話してくれるようになった。


それがいつのまにか好きになったのは、単純接触を繰り返したせいだと今なら思える……。