「私だって今さら訂正するのも面倒ですよ。でもあの時は陵介先輩が美香のこと好きだから相談に乗ってただけなんです。それを美香も先輩も勘違いしただけ。
なのに勝手に付き合ってるとか誤解しないでください。てか、付き合ってませんし! 好きでもないですし!もう大昔に終わったことですけどね!」
「……」
一気に捲し立てるように数年越しの弁解と文句を言えた。
やっと言えた。
洗い流せていなかった垢を綺麗サッパリ流したように、やっと気持ちが楽になった。
けれど伝えてスッキリしたからなのか、胸の中にぽっかりと穴が空いたように感じたのは気のせいだろうか?
でも、これでなんとなく自分の中にあるわだかまりも成仏出来た気がする。
なのに先輩は黙ったまま、何も言わない。
何を考えてるのか分からないけど、固まったまま難しい顔をしている。
「じゃあ何であの時否定しなかったんだ」
……え?
否定も何も、口を挟ませる隙すら与えず言い捨てるように去って行ったのは先輩の方なのに。
弁解さえもさせてもらえなかったのに。
「伝えようと思って連絡取りましたけど、私の連絡先ブロックしてましたよね」
「ーーっ」
「他の先輩にも聞きまくったけど教えてくれなくて、そのまま時間が過ぎたって感じです。それでも連絡しなきゃいけなかったですか?」
睨みつけるように堂々と吐くと、先輩は口を手で覆って気まずい顔をした。
「……いや、悪かった」
もっと困らせてもいいくらいだけど、もうあの頃のことは時効だ。
スッキリしたおかげで、私もこれ以上この話題を繰り返すつもりもない。
「もういいですよ、誤解も解けたみたいなんで。ちなみに美香と陵介先輩は先月結婚しました」
「え!? 嘘だろ」
大袈裟ではなく心底驚いている様子。
ほんとに知らないんだ……。
「あの二人も初めは気まずかったんですけど、陵介先輩が必死に誤解を解いて、それからはずっと仲も良くて先月ついに。できちゃった婚です」
「はぁ〜……」



