先輩、お久しぶりです



「おいおい、俺のことはあとでみっちり説教するとして、やっぱキミたち知り合いなの?」


 そりゃそう思いますよね。
 だって初対面のはずの私に『千春』とか『お前』なんて、気安く言える訳ないもの。

 もう、頭が痛い。


「あ、実はですね」

「こいつとは同じ大学で、同じサークル仲間だったんだ」


 だった……。過去形。
 その通りなんだけど、なぜか引っかかるのはなんでだろう。


「え、そうなんだ。初対面て言ってたからてっきり藤井の暴走かと思ってビビったじゃん」

「すみません、嘘ついてて」


 私はフォークを置いて、少しだけ頭を下げた。
 謝る必要なんてないのに、なんだか場の雰囲気が悪くなった気がしてなんとなく詫びてしまった。


「いや、千春ちゃんのせいじゃないよ。多分藤井が変なこと言うから他人のフリしてたんでしょ?」


 大正解! その通りです。
 私は首が折れるんじゃないかと思うくらい頷いた。


「ただ残念なのは彼氏いるんだね……」


 さっきまでの勢いはなくなって、あからさまにシュンとなっている的場さん。
 気があるわけじゃないけど、誤解されるわけにもいかない。


「あ、いえいえ、いませんよ」


 いつ私が彼氏いるって言った!?
 勝手に決めつけた昂良先輩を小突いてやりたい。
 というより、まんまとフリーなことがバレてしまった。


「ほんと!? 良かった。それさえ知れたら安心。あと、さっき藤井が言ってたことは無視してね。あれも嘘だから」

「あはは……」


 もうなんなのよ、藤井昂良め!