先輩、お久しぶりです


「ちょっ、いいんですか? あんなふうに言っちゃって」


 いくら牽制するためとはいえ、同じ部署の同期相手を睨みつけるなんて今後仕事がやりづらくなるはずなのに。


「あいつにはこれくらいハッキリ言ってやらないとわからないんだよ」

「でもそんなことしたらーー」

「自分の彼女が他のやつに言い寄られて黙ってられるか」


 眉間に皺を寄せてジロッと睨まれた。

 普通なら怖いはずなのに、そう思わないのは私のために追い払ってくれたのが分かってるから。
 ヤキモチを妬いてくれたんだと思うと嬉しいのに、それでもやっぱり……


「そ、そうですけど、なにもケンカ腰に言わなくても」

「じゃあそのまま見過ごせって言うのか」


 いや、そんなわけない。
 堂々と『俺のもの』と言ってくれたことを嬉しく思わないわけがない。


 同じ部署の同期同士でケンカをして欲しくないと思って言ったけれど、それは余計なお世話だったかも。
 第一私のためを思って言ってくれたのに、素直に喜べばいいだけなのにまた私は……


「いえ……ありがとうございました」


 申し訳なくて下を向いてそう言うと広報の階に着きエレベーターのドアが開く前に、顎を上げられちゅっとキスをされた。見るとまだ怒った顔の先輩。


「今日はお仕置きだからな」

「えっ?」

「的場に隙を見せた罰。帰りはそのまま千春の家に行くから、覚悟しとけよ」


 そう言われ呆然としていると、他の人が乗り込んできたため慌てて降りた。
 ドアが閉まる前に先輩を見ると、片眉を少し上げて仏頂面をしているかと思いきや口の端が笑っている。


 覚悟……?