僕の特技は秘密です

「大ちゃん、点呼の時間、そんなにギリギリだった??」

時計に目をやるとまだ集合時間まで15分もあった。

「あんなところでふたりきりで手を繋いでたら目立つだろ。」

「あぁ、旺介くんにとって私はまだ幼い子どもに見えるみたい。迷子にならないようになんだって。」

「…んなの、男の口実だろ…。」

大ちゃんが何か言ったようだがよく聞こえない。

「えっ?ごめん、なんて言った?ってか、なんか怒ってる??」

「別に怒ってねーよ。ほら、早く行かねーとマジで点呼始まんぞ。」

「うん、そうだね。行こ!」

4階の教室まで二人で駆け上がった。
教室に戻ると梨香子にその後二人でどうだったの??と聞かれたので、普通に構内を見て回ったと言ったら、物足りなそうにしていた。