僕の特技は秘密です

「そっかー…。それは困ったなぁ。俺に何かできればいいんだけど…。」

どんなに頭を働かせたところで、高校生の私たちにできることは何もない。
出来るとすれば、転所先が決まった後に引っ越しの荷物をまとめたりするくらいだ。
心配する気持ちは大人と同じだが、どうするかは大人に任せるしかないのだ。

その大人がうちのお父さんじゃ頼りないけど…。

「ありがとう。」

心配してくれた大ちゃんに俺を言うと、手が止まっていた看板づくりの作業を続けた。

外が暗くなり始め、帰宅を促す音楽が鳴る。
高校生の手作りの割には素敵に仕上がった看板に皆で満足した。