ただ、映像として頭に入ってくるだけで、何の実害も無いのだが、小中学生のメンタルをズタボロにするには充分で、きっと、幽霊に取りつかれた人というのは、このようにメンタルをやられていった人のことなのだろう。と、子どもながら思った。
次第に学校へ行くのが苦痛になり、中学生では不登校がつづいた。

そんな僕を両親は心配し、僕に世界は広い事を伝える為に家族3人で旅行に行くことが増え、幼いころあんなに喧嘩ばかりしていた両親がいつの間にか仲良くなっていた。
どうやら、僕の不登校の原因は人付き合いやイジメに有るのでは無いかと思ったらしい。
人見知りな僕なので、そう思われても仕方がないのだろう。
旅行先でも頭に映像が飛び込んでくる事は当然起きており、気分転換も見分を広げるも何もなかったが、両親が心配しているので、何とかせねばともがいていた。

映像の原因であるピリピリとしたものを感じ取れるのだから、脳で映像にする前に何とかできないか考えた。
そんな時、ふと幼いころ観たあのテレビ番組を思い出した。
「そうだ!脳のイメージをコンピュータで解析して映像化したなら、ピリピリしたものをコンピュータのデータと同じように削除することができれば!」
それからは、映像の原因であるピリピリとした微弱なものを見つけると、触ったり、こすったりし、何とか消えてなくならないか試してみた。
しかし、何をしてもなくならない。
自然と脳内に入ってくる映像を読み取る回数が増えたせいか、近頃では音声まで感じるようになった。
やればやるほど悪化する。まるで泥沼だ…。
観たくもない映像や音声が脳内の思考を圧迫し、イライラばかり募る。
「いい加減にしてくれっ!」
僕の混沌としたどうにもならない気持ちがピリピリとした微弱なものに被さった時、脳に流れ込んできていた映像がピタッと止まった。