「つーちゃん!こっち!」

転がる壺のそばに大吾くんが倒れていた。

「大ちゃんっ!!」

つーちゃんが彼のそばに駆け寄り声をかけるが反応がない。

「とにかくここを出よう。つーちゃんのお父さん、手伝ってください。」

男2人で大吾くんを担いで地下から出ると、つーちゃんの家の和室へ運んだが相変わらず意識がない。

布団に寝かせるとつーちゃんのお父さんは村長さんに連絡したが繋がらなかった。
「…椿、あの歌は本当に間違えていないのか?」

「間違えてないと思うけど…。」

「そうか…。急に戻ってきてもらって悪かったな。お婆ちゃんは元気だったか?」

「相変わらずだったけど…。紅葉さんは楓ひいお婆ちゃんのお姉さんだったの。」

つーちゃんのお婆さんと面会中に電話で呼び出されてしまったので、橘にはそのまま残ってもらい、紅葉さんと楓さんの話を聞いてもらっていた。
そして、橘のスマホに電話をかけ、車で移動中も車内で話を聞いていたのだ。

つーちゃんはお婆さんが話していた紅葉さんについて、お父さんに話をしだした。

「そうか…。そんな事があったんだなぁ。時代のせいもあるなかも知れないが、一度すれ違ってしまうと、なかなかなぁ…。」

と、話が終わると言った。