「『紅葉』さんという女性と『楓』さんのご関係をご存じですか?」

今度は『紅葉』という名前に反応をした。震えるようにお婆さんの唇が動き出す。

「あぁ…。あぁ…。」

何とか声は出たが、言葉にならない。

「おばあちゃん!『紅葉』さんを知っているの??」

「…も、紅葉は母の姉…です。」

つーちゃん、橘、僕の三人は同時にお互いの顔を見る。

「可哀そうな紅葉お姉ちゃん…。」

お婆さんの目からスーッと涙がこぼれた。

ここにきて正解だった。
お婆さんがきっと何かを知っているに違いない。
予想が確信に変わった時だった。

ブブブッ ブブッ

スマホのバイブ音が静かになった部屋に響く。

「あ。お父さんからだ。」

カバンからスマホを取り出し、つーちゃんは耳にあて廊下に出ながら会話を始めた。

「えっ!?なんでそんな事に!?ちょ…、ちょっと待ってよ、話が違うじゃない!!!とりあえず、そっちに戻るから!」

廊下に出ても慌てた様子は声の大きさでわかる。

「何かあったみたいだな。」

橘が僕を見る。

「あぁ、そうみたいだ。」

つーちゃんが電話を終え、戻ってきた。

「…なんだか、神社でポルターガイスト的な事が起こってるらしいの…。お父さんがやらかしたみたい…。」

とても言いづらそうに伝えてきた。

「「はっ!?」」

橘と僕の声が揃った。