僕の特技は秘密です

「一体、どうゆう事なのか…。」

椿の父は理解し難いこの状況に頭を悩ませていた。
しばらく沈黙が続いたが次に口を開いたのは橘だった。

「すごく非現実的な話なのですが…。実は、彼、旺介には霊感があって。本人は霊感とは少し違うと言っているんですが、まぁ、そんな感じの力がありまして…。椿さんが当時、意識不明の状態で入院されていたのであれば、幽体離脱的な感じでこちらに戻っていて、その時に二人が会っていたってのは考えられないですか??」

「僕はつーちゃんの幽体と遊んでいたってことか??今までそんな体験ないぞ?」

「うーん…。神職をしているので、非現実的な話は沢山耳にしているが…。」

「そう考えた方がしっくりとくるんじゃないですか?」
橘が幽体説を推す。

「…そうか。だからなのかしか?社務所にいる巫女のおばちゃんたちに何度も声をかけてるのにまったく相手にしてもらえなかったの。だから、おーすけ君に声をかけてもらったときは本当に嬉しくて安心したの。」
つーちゃんは橘の幽体離脱説で納得したようだった。

「一条、幽霊見ないなのを見る時って、機械がデータを読み込むようなイメージって話してただろ?であれは、椿さんの幽体をテレビやラジオの電波のようにキャッチしたとかなんじゃないか??」
「僕にそんな特技もあるかもしれないってことかぁ…。というこは、昨日、石橋の上で見たのも何かの幽体だったとか…。いや、でも、つーちゃんの時はイメージというよりもちゃんと生きている人間だと思っていたし…。」
「それは、ほら、意識不明なだけでちゃんと生きている人間だったからじゃないのか?」