僕の特技は秘密です

数年後、僕は月の華グループの介護施設を取りまとめる子会社の社長に主任した。

パシャ、パシャ。
「すみません、社長、もう少し右を向いてもらっていいですか?」

「こんなかんじですか?」

顔の角度を少し右にずらし答えた。

「あ、そんな感じです。」

子会社の社長就任に伴い社内報のインタビューに答えながら写真撮影を行っていた。

「社長、お休みの日は何をされているんですか?」

「休みの日は…。妻とこどもと遊んでることが多いですね。」

「では、最後の質問です。意外な特技とかってありますか?」

「特技ですか…?僕の特技は…。」

一瞬、あの能力のことが浮かんだ。

「僕の特技は昔から一途に妻のことを思い続けることですね。ははっ。」

「仲が良いんですね~。羨ましいです。本日の撮影はこれでおしまいです。ありがとうございました。」

僕の本当の特技は愛妻なるつーちゃんとの秘密だ。

誰にも教えない。