キミの言葉で、人生に光が灯りました。


なんだか、優衣がちょっぴり羨ましいや。


税所くんのことを、いつでも好きな時に観察できるし。

優衣がそんなふうに思っているかどうかは分からないけれど、わたしがもし『白鳥』っていう苗字だったらなぁ。

いや、でもわたしに『白鳥』なんていう神秘的なイメージもあるような苗字は、絶対に似合わないだろうなぁ。


こーんな、家では暗い顔をしっぱなしでどこも輝いていないようなわたしになんか、ね。


せめて、さ行で始まる苗字がよかった。
別に、『水菓子』という苗字が嫌いなわけでもない。

だけど、税所と水菓子なんて、全然近くない。



「花?」



わたしが税所くんを見たことを知らない優衣は、『え?』という顔をしていた。



「ああ、なんでもない。あ、もうすぐ先生来るよ」



「ああ、ほんとだ! じゃ、また後でね!」



優衣は、そそくさと税所くんの後ろの席に座った。



「みんないるかー? 時間になったから、ホームルーム始めるぞー」



担任が、けだるそうな声と同時に姿を表した。