翌日。
わたしは、教室で自分の席に座りながら、ぼーっとしていると、
「水菓子、おはよー」
と、その声に右耳をくすぐられた。
振り向くと、そこには案の定税所くんがいる。
まただ、税所くんの魔法。
わたしをドキッとさせる魔力がある、税所くんの声。
「おはよう、税所くん」
わたしは、口角を上げて挨拶を返す。
「花おはよー」
後ろからも声がかかってきた。
今度は優衣だ。
「おはよ、優衣!」
優衣は、スクールバッグを自分の机に置くと、「あっ、そうだ」と言って、わたしの方へ近づいてきた。
「花、ちょっとこっち来てー」
優衣は、わたしの腕をグイと引っ張った。
「え?」
「いいから、少しだけ!」
わたしはまるで操り人形のように、優衣に渡り廊下へと連行されて行った。



