「はぁ……」
お風呂を洗いながら、わたしはため息をついた。
……逃げるように帰ってきちゃった。お母さんも、遅く帰ってきたことに関しては気にしていないようだったし、まだ優衣達と一緒にいてもよかったのかなぁ。
『いや、時間大丈夫かなって思って……』
税所くんが言ってくれた言葉。
どういう思いで言ってくれたんだろう。
単に、聞いただけだと思うけれど。
『また明日な』
明日を楽しみにする魔力のある言葉。
ひとつひとつの言葉に、魔力がある税所くん。
わたしの気持ちを掴んで離さない魔力。
強すぎる魔力。
どうして、わたしはこんなにも税所くんに魔法をかけられているんだろう。



