「陽介ー」
「圭一じゃねーか」
隣のクラスの、斉藤圭一くん。
斉藤くんは、うちの学年でも人気は高い。
なんでも、親戚では年の離れたいとこが近所に住んでいて、面倒見がよく優しい。
目鼻立ちはくっきりしている方だし、テストでも高得点をいつもとっている。
税所くんとなんだかんだ仲がいいみたいで、お昼休みの時間になるといつもこの2人は一緒にいるところをよく見かける。
確か、高校1年生の頃も2人は同じクラスだったっけ。
しかも2人とも、“さ”から始まる苗字だから出席番号もきっと前後だったんだろうな。
さっきまでわたしと話していたけれど、そのことも忘れたかのように斉藤くんと話をし始める。
わたしがその場を離れても、斉藤くんも税所くんも気に留めていないようだった。



