「おかしいな〜。俊、時間間違ってないよね?」
「あぁ。11時になったぞ」
今日はついに待ちに待ったお出かけの日なのだが、麻里ちゃんと菜乃が一向に来ないのだ。
「連絡しても既読もつかないし…二人とも何かあったのかな!」
「落ち着け…もう少し待って来なかったら、その辺探しに行こう」
黙ったまま俊の提案に頷いて答える。
だけどその後30分経っても二人は来ない。
「やっぱり…探した方がいいのかな?」
「確かに遅すぎるな…。商店街の方を探してみるか。あっちの方に歩いて行けば一通りの道は通れるだろうし」
「うん。何もないといいけど…」
そのまま駅を離れて、商店街を目指しながら歩いていく。商店街に着くまでの道でも菜乃と麻里ちゃんは見つからなかった。
「商店街にいるのかな?」
「さあな。まあ、行くしかないだろ」
この商店街はこの地元の人なら誰でも知っている、県内でも有名な商店街だ。
「見つからないね…。やっぱり何かあったのかな?大丈夫かな?…って…ん?」
「どうした?」
「あの…また、変な感じが…」
「変な感じ?どんな感じだ?何か感じるのか?」
しばらく集中して考えてみたが、この感覚を表現するのは難しい。そうそのまま俊に伝える。
「俺は何も感じない…。何かいつもと違うものは見えるか?」
「んーと、幽霊はいつも通りそこら辺に沢山いるのは俊もわかると思う」
「あぁ。これはいつものことだな」
「でもね…なんだか麻里ちゃんのときと似てる気を感じる」