本当の恋とは言えなくて

次の朝、目覚めた時 頭にモヤがかかったような感じで…昨日のことは悪い夢なのかもしれないと思った。

脱ぎ捨てたドレスが部屋のすみに少しクシャッとして置いてあるのが目に入り

(あぁ…あれは現実なんだ。)

そう思い知らされた。

脱ぎ捨てたドレスを拾い上げバンカーにかけた。手でシワを伸ばそうとドレスを手でさする。

何度も何度もドレスを手でさするけど一晩放り投げたままにしていたドレスのシワは簡単には伸びない。

「…そんなに簡単には元に戻らないよね…」

簡単には元に戻らないドレスのシワが私とカズくんの関係と似ているな、と ふと思った。

松下さんの勝ち誇ったような笑顔が頭をよぎり思わず頭を抱えてうずくまる。


涙はもう枯れてしまったのかもしれない。


ドレスをクローゼットの一番奥にしまいこんだ。もう見たくない。思い出してしまうから。