しばらくお互いを確かめるように抱き合い、落ち着いてからリビングに座った。
「ごめんね、ソファーとか無くて。こたつなんて…」
入れたての紅茶をこたつの上に運ぶ。
「いや、俺こたつ好きだよ。小さい時はこたつ大好きでさ、朝は潜り込んでてなかなか支度できなくて良く母親に叱られてたよ。」
「え?カズくんこたつなんか入ったことあるの?セレブなのに?!」
あまりにも意外すぎて思わず疑問を言葉にしてしまった。
「前にも言ったと思うけど、俺さ、紬が思ってるような御曹司じゃないよ。」
苦笑いをしながらそう言うカズくんは少し寂しそうに見えた。
「え?」
「俺さ…愛人の子供なんだよね。父親の。」
「…。」あまりにも衝撃的な話で言葉を失う。
「母親が病気で亡くなる直前まで、俺はその事知らなかった。ずっと母親と二人きり、父親の存在すら知らずに過ごしてて…母親がいよいよもうダメかな、って感じになったとき、突然偉そうな態度のおっさんが現れてさ…」
初めて身の上を話してくれたことは嬉しかったけど、寂しそうに、苦しそうにポツリポツリと話すカズくんが小さく消えてしまいそうに見えて…気がついたら背中から抱きしめていた。
自分がした行動ながら緊張してしまい小さくてが震えてしまう。その手にカズくんの大きな手が重ねられた。
「…母親が亡くなったあと、今の父親に引き取られて…英才教育を受けた、ってわけ。中学2年だった。それまで、1人で俺を育てようと頑張る母親を助けるために、料理、洗濯、掃除…できることは何でもやってたよ。それなの に突然の勉強漬けの日々、高校から大学まではアメリカに留学させられて卒業後はアメリカのニュウセントラルホテルで修行…恋をする暇も母親を恋しがる暇も無かったよ。」
何も言えずギュッと抱きしめるだけだった。
「あ、そうだ!」
カズくんは持ってきていた大きな紙袋をゴソゴソとし中から高級そうな箱を取り出した。
「これ、誕生日プレゼント。」
「…え?」
「え?まさか…忘れてた?」
あまりにもいろいろなことがありすぎてすっかり忘れていたが、今日は12月10日 私の誕生日だ。
「これを着て来週日曜日のパーティーに出席してほしい。その時…婚約者として周りの人達に紹介したいと思ってる。」
「え?!しょ、紹介?!」
「そう。そのパーティーには俺が今仕事でお世話になってる人達やこれから関係を深めていきたい人達が沢山出席するんだ。だから…俺の本気の決意を紬にも、周りの人達にも伝えたいと思って。」
そう言いながら開けて見せた箱の中には薄いピンク色のドレスと少し低めのハイヒールが入っていた。
何も言えずにただ口を押さえて感動している私。
「きっと似合うと思うんだ」
そう言いながら手を引き立たせ、姿見の鏡の前まで連れて行くカズくん。
ドレスをあてがわれた姿を鏡越しに見る。
「似合う。ホントに…俺のイメージ通りだよ」
ピンク色でハイネックの首もとは豪華なレースで飾られており、デコルテの部分はオーガンジーで少し透けている。Aライン膝丈ドレス。首もとは豪華なのに全体的には控えめな印象のドレスだった。
「これを着て、俺の正式な婚約者としてパーティーに出席してくれますか?」
ほとんどプロポーズと言えるような言葉と一緒にダイヤのイヤリングと指輪のセットの入れ物をパカリと開けて差し出された。
涙が自然と頬を伝う。幸せすぎる…本当に。
「本当に私でいいの?」
「紬じゃなきゃ、駄目なんだ。」
少し不安げに眉を寄せて目を覗き込まれた。
「はい。喜んで。」
思いきって返事をしたその瞬間、唇が奪われた。優しく…長く…。
「あらためて言うよ。誕生日おめでとう。紬が生まれて来てくれて、俺と出会ってくれて本当にありがとう。」
そのまま甘い夜は更けていく。
私はカズくんの腕に抱かれ幸せの絶頂を感じていた。
「ごめんね、ソファーとか無くて。こたつなんて…」
入れたての紅茶をこたつの上に運ぶ。
「いや、俺こたつ好きだよ。小さい時はこたつ大好きでさ、朝は潜り込んでてなかなか支度できなくて良く母親に叱られてたよ。」
「え?カズくんこたつなんか入ったことあるの?セレブなのに?!」
あまりにも意外すぎて思わず疑問を言葉にしてしまった。
「前にも言ったと思うけど、俺さ、紬が思ってるような御曹司じゃないよ。」
苦笑いをしながらそう言うカズくんは少し寂しそうに見えた。
「え?」
「俺さ…愛人の子供なんだよね。父親の。」
「…。」あまりにも衝撃的な話で言葉を失う。
「母親が病気で亡くなる直前まで、俺はその事知らなかった。ずっと母親と二人きり、父親の存在すら知らずに過ごしてて…母親がいよいよもうダメかな、って感じになったとき、突然偉そうな態度のおっさんが現れてさ…」
初めて身の上を話してくれたことは嬉しかったけど、寂しそうに、苦しそうにポツリポツリと話すカズくんが小さく消えてしまいそうに見えて…気がついたら背中から抱きしめていた。
自分がした行動ながら緊張してしまい小さくてが震えてしまう。その手にカズくんの大きな手が重ねられた。
「…母親が亡くなったあと、今の父親に引き取られて…英才教育を受けた、ってわけ。中学2年だった。それまで、1人で俺を育てようと頑張る母親を助けるために、料理、洗濯、掃除…できることは何でもやってたよ。それなの に突然の勉強漬けの日々、高校から大学まではアメリカに留学させられて卒業後はアメリカのニュウセントラルホテルで修行…恋をする暇も母親を恋しがる暇も無かったよ。」
何も言えずギュッと抱きしめるだけだった。
「あ、そうだ!」
カズくんは持ってきていた大きな紙袋をゴソゴソとし中から高級そうな箱を取り出した。
「これ、誕生日プレゼント。」
「…え?」
「え?まさか…忘れてた?」
あまりにもいろいろなことがありすぎてすっかり忘れていたが、今日は12月10日 私の誕生日だ。
「これを着て来週日曜日のパーティーに出席してほしい。その時…婚約者として周りの人達に紹介したいと思ってる。」
「え?!しょ、紹介?!」
「そう。そのパーティーには俺が今仕事でお世話になってる人達やこれから関係を深めていきたい人達が沢山出席するんだ。だから…俺の本気の決意を紬にも、周りの人達にも伝えたいと思って。」
そう言いながら開けて見せた箱の中には薄いピンク色のドレスと少し低めのハイヒールが入っていた。
何も言えずにただ口を押さえて感動している私。
「きっと似合うと思うんだ」
そう言いながら手を引き立たせ、姿見の鏡の前まで連れて行くカズくん。
ドレスをあてがわれた姿を鏡越しに見る。
「似合う。ホントに…俺のイメージ通りだよ」
ピンク色でハイネックの首もとは豪華なレースで飾られており、デコルテの部分はオーガンジーで少し透けている。Aライン膝丈ドレス。首もとは豪華なのに全体的には控えめな印象のドレスだった。
「これを着て、俺の正式な婚約者としてパーティーに出席してくれますか?」
ほとんどプロポーズと言えるような言葉と一緒にダイヤのイヤリングと指輪のセットの入れ物をパカリと開けて差し出された。
涙が自然と頬を伝う。幸せすぎる…本当に。
「本当に私でいいの?」
「紬じゃなきゃ、駄目なんだ。」
少し不安げに眉を寄せて目を覗き込まれた。
「はい。喜んで。」
思いきって返事をしたその瞬間、唇が奪われた。優しく…長く…。
「あらためて言うよ。誕生日おめでとう。紬が生まれて来てくれて、俺と出会ってくれて本当にありがとう。」
そのまま甘い夜は更けていく。
私はカズくんの腕に抱かれ幸せの絶頂を感じていた。



