カズくんは部屋に入ると珍しい物でも見るように部屋を見渡す。
「ごめん、散らかってるでしょ?」
「ううん。きれいだし…紬の匂いがする。」
恋人同士なら甘く聞こえるそのセリフも偽装の関係なら空々しくも聞こえる。それでも心の奥で嬉しいと感じる自分にあきれてしまった。
「あ、あの…私やっぱり…」
「家にくるのを止めるとは言わせないよ。」
無表情でまっすぐ見つめて言われると、その真意を知りたくて思わず見つめ返してしまった。
「さ、用意して。」
「あ、うん…。」
気は進まないが、これ以上カズくんを待たせてはいけないので急いで用意した。
「お願いします。」小声でそう言いながら一泊分の荷物を摘めたバックを抱え車に乗る。
「あ、そういえばお母さんに一応連絡しておいた方がいいだろう。」
車を走らせてすぐに思いついたように言われ、そっか、と思った。
「わかった。そうだね。でも、何て言ったらいいかな。」
友達の家に泊まる、とでも言えばいいかも知れないけど、母親に嘘は付きたくない。
「彼の家に泊まると言えばいいよ。」
「え?彼氏だなんて…母に嘘は付きたくないし…」
「嘘じゃないだろ?今は彼氏だ。仮の、だけどね。」
いたずらっぽく言い、珍しく笑顔を見せる。
「うん…。」
「まだ悩むの?俺から連絡いれようか?」
「え、いや、大丈夫!」
あわててスマホを取り出し、母親にメッセージを送った。
『お仕事お疲れ様。今日は急遽彼氏の家に泊まらせてもらうことになりました。留守にするけど心配しないでね。』
彼氏が居るなんて言ってないのに、このメッセージを見て驚く母の顔が目に浮かんだ。
「ごめん、散らかってるでしょ?」
「ううん。きれいだし…紬の匂いがする。」
恋人同士なら甘く聞こえるそのセリフも偽装の関係なら空々しくも聞こえる。それでも心の奥で嬉しいと感じる自分にあきれてしまった。
「あ、あの…私やっぱり…」
「家にくるのを止めるとは言わせないよ。」
無表情でまっすぐ見つめて言われると、その真意を知りたくて思わず見つめ返してしまった。
「さ、用意して。」
「あ、うん…。」
気は進まないが、これ以上カズくんを待たせてはいけないので急いで用意した。
「お願いします。」小声でそう言いながら一泊分の荷物を摘めたバックを抱え車に乗る。
「あ、そういえばお母さんに一応連絡しておいた方がいいだろう。」
車を走らせてすぐに思いついたように言われ、そっか、と思った。
「わかった。そうだね。でも、何て言ったらいいかな。」
友達の家に泊まる、とでも言えばいいかも知れないけど、母親に嘘は付きたくない。
「彼の家に泊まると言えばいいよ。」
「え?彼氏だなんて…母に嘘は付きたくないし…」
「嘘じゃないだろ?今は彼氏だ。仮の、だけどね。」
いたずらっぽく言い、珍しく笑顔を見せる。
「うん…。」
「まだ悩むの?俺から連絡いれようか?」
「え、いや、大丈夫!」
あわててスマホを取り出し、母親にメッセージを送った。
『お仕事お疲れ様。今日は急遽彼氏の家に泊まらせてもらうことになりました。留守にするけど心配しないでね。』
彼氏が居るなんて言ってないのに、このメッセージを見て驚く母の顔が目に浮かんだ。



