俊がそのご婦人に車の中を覗き込まれて一喝された。
彼は何の話しか、そりゃわからず私に目で何?って訴える

首を横に振り、首を傾けると彼の表情があまりにも困惑してて
私は少しだけ下を向いて口に手を当て笑ってしまう。
そのご婦人は更に彼に言った。

「あのね、奥様は妊娠してるんだから、いいですか?
さっさと家に帰って入浴させてあたたかくしてあげなきゃダメですよッ!」

『あっ・・はい申し訳ありません。あの・・妻がご迷惑を?』

なに?妻って! 彼ったら話しを合わせるのはわかるけど、そこ必要?


「別に迷惑なんかはかけられていませんよ。でもね、あまりに寒い日に女性を
待たせる殿方にね。 ん?・・・奥様、後はあなたがちゃんと言うのよッ!」

「えっあっ・・はい」


突然に私に振り返り、真っ赤になってそそくさとご婦人は消えた
なんともいえないハプニングに、残された私と彼は目を合わせて吹きだして笑った。


『薫、乗って』
「何だかさっきから・・私の名前呼び捨てね?」
『うん、だってそう呼びたいから』

「そう・・」
『僕の名前もどうぞ』

「じゃあ、、片瀬さん」
『そうきたか、、まぁ、いいや。じゃあ奥さん行こうか?』

彼の車に乗って、私たちいったいどこ行くの?
私は彼についていこうと思った。