「・・こんばんは?・・あの何か?」

その女性は口元は笑っているのに目が笑っていない表情で言う。

「こういうパーティは常連ですか?」
「えっ?・・常連って」

”さすがに初めてです”とは即答できず、ましてやバイトのピンチヒッターって言えるはずもなく。

「あら?違うみたい。今夜のパーティはエグゼクティブな男性と出会う事が目的でしょ?若くて、それなりに綺麗な容姿に身元もしっかりした女性が選ばれるべきよね。なのに”場違いな方”がいるみたいだから、うふふ」

「はぁ?」

うわぁ~これは分かり易いマウントの取り方
こんなやり取り久しぶりすぎ。それでもウンザリしちゃう
分かり易い侮辱の言葉に、どんな表情をしたら良いのかわからず、曖昧に笑い
反論の言葉を伝えようとして、女性が更に言葉を重ねる

「そのお歳でピンク? 目立ちたいから?」
「・・その歳って?」


見下すようにクスクス笑いながら私の前を去る女性に、な・なんなの~~~?!この場に居るのも嫌なのに、ましてやすごーーーーーく 嫌な気分にさせられた

そりゃ女性は一歳でも若い方が良いに決まってるけど、
何もあんな若い子に 自分の年齢の事で馬鹿にされるだなんて。
わざわざそんな事伝えに来る必要があるの?!

私の初めての体験は最悪な気分のまま 幕が上がった

奈々子の代わりに来た事はやむおえずとして誰か相手を探そうなどと思ってもいない。壁に寄り添って夜景でも見てれば時間が過ぎるし、適当な時間でお暇できれば良いと聞いている。奈々子の用意したピンクのドレスを纏った私の姿を眺めてみる

せっかく参加するんだし、カッコイイ男性をゲットするのも良いんじゃない?なんて奈々子は言ってたけど。
無理無理、、自分から男性に声かけられないし。かけるつもりもないけど、、私は若い子じゃないし、

恋愛経験も乏しいアラサーの私。
仕事終わりで、疲れすぎて頭だって回っていない
早く帰ってお風呂に入ってのんびりしたい
受け持ち患者の治療計画の見直しもしたいし、、、

私の人生って案外と潤いにかけているのかも?
そんな風に思いながら私も別室の入り口に向けて足を進めていた。