部屋に入る前に 大月が僕の顔を見て言った


「片瀬、何の話だか僕にもわからない。だけど教授は絶対だ」
『はぁ?』
「とにかく早く入れ」
大月が教授の部屋のドアをノックした


「失礼します。片瀬先生を連れて来ました。」
「ああ~ッ待ってたよ。入りたまえ」


大月の後で 部屋に入りかけると、途端に何だか嫌な予感がしてためらう僕に大月が目配せして中に入るように強引に僕の背中を押した。

『失礼します、ご無沙汰しています、片瀬です。あの・・私に何かご用だとお聞きしたんですが?』
「ああ~~まぁ、とにかくここへ・・そうだ、大月君、君は外してくれるか?」


教授は僕をソファへ座るように言うと 大月に出て行くようにと命じた。
大月は教授の言葉に憮然として部屋を出ていく。
教授は自慢のパイプに火をつけると、一口吸い込み、煙をフッ~っと吐き出した
と同時に 思いがけない事を僕に言った。


「片瀬君、君には大学に戻って来て貰う。そして、してもらいたい事がある」
『はい?・・今、何と?』

「もちろん、君の将来は私が保証しようッ! 講師としてじゃあないぞ。
准教授として帰ってこい。 で、してもらいたい事は・・」


な・・なんだ! この話は。