『ああ~今日は悪かったよ~! 
どうしても抜け出さなきゃいけない用事が出来てさ』

今夜パーティーの本来のバイトをするはずだった後輩の木村優一からの電話だった。いつもはメイルなのに電話なんて珍しい。どうも大学の同期の准教授している大月からの指令だそうだ。

「いや、それは良いんですけど大変なんですよ~!先輩に早く伝えろって大月先生が」
『なんだよ~ッ?そんなに焦って』
「実は大学の方が大変な状況で、教授が倒れたらしくて講師以上は皆、大学に集まってますよッ! 片瀬先輩の所在がわからないと大月先生が探してて、だから早めに大学に向かって下さいッ!」

『わかった、落ち着いたら行くよ。それにしても何だよッ 僕は外に出されてるんだから、今更関係ないだろ?』
「それが大ありですよッ!どうもコレは派閥争い勃発ですねッ!」
『僕には関係のない事だよ』
「大月先生が言うには、片瀬先輩がキーマンらしいですよッ!」
『はぁ?何で?』
「さぁ、僕にはさっぱりでしたがまぁ、片瀬先輩は何でも出来ちゃうからかな」
『おいおい、いい加減な事を言うなよ~ッ!』
「とにかく伝えましたよッ!ちなみに僕はデート中なんで失礼しますッ!」
『はぁ?おい・・お前なぁ~』
「先輩だって何か美人な女性と良い感じだったって事じゃないですか?!」
『えッ な・・何で』

「何で知ってるかって?
そりゃ僕の友人もあの場にいたんですから聞いてますよッ!」
『まったくなぁ~』
「上手くいったならお礼は今度で良いですからねッ!あはは~ッ」


まいったなぁ 後輩に気づかれてるようだけど、まぁいいか。後輩達に彼女がらみで会う事なんてないんだから。僕はその時 本当にそう思っていた。まさか、これからの展開に自分自身がこうも関わるとは思ってもいなかったからだ