薫の瞳が涙で潤んでいた。その様子に昼間の空港での彼女を思い出してしまったんだ。きっとその涙は僕と一緒にいる嬉しい涙だと理解できるのに、独占欲とも嫉妬心ともわからない感情が大きくなり、そうしたら、どうしても聞きたくなってしまう

『薫、あのさ、空港で坂本先生に』
そう言った時、薫が僕の瞳をジッと見て言ったんだ。
「俊、私を信じてくれる?」

僕は彼女のその言葉を聞いて、そしてそれ以上何も言わない事にした。
薫の瞳を見つめながら大きく頷いた。

「ありがとう」

僕たちはその夜、二人だけのクリスマスを楽しませてもらった。一緒に住み始めて、こんなに薫を独り占めできたのは初めてだ。翌朝、と言っても昼前なんだが、自宅に戻ると僕の小さなライバルが僕に負けないぐらいのキスを薫にしてきた。
僕はバックから、さっき薫と一緒に選んだ絵本のクリスマスプレゼントを優人にあげると、彼は薫から手を離しニッコリと破顔させた。

数か月後の朝、いつものように僕と薫がベットでイイ感じの時に
わかったように邪魔に入って来る。
優人も僕のように薫が大好きなんだ。
きっと本当の意味で僕の永遠のライバルは、優人、君なんだね?

穏やかな休日、僕は息子と愛する妻のキスシーンを見ながら大きく幸せなため息をついた。


ーFinー