そこは6万個のLEDライトがきらめく場所だった。母さんの親友がやってる教会らしいから、何だかわかる気がする。
『うちの母さんは、かなりロマンチックな嗜好の持ち主でね、、こういうの昔から好きなんだよ』
「あら、私もこういう雰囲気好きよ」
僕や薫の事を話した母さんの親友が、それなら是非うちで結婚式をあげて欲しいって言ったそうだけど。
小さな教会だろうって思って行ったら、意外に凄い事がわかる。都内のホテルも顔負けのエントランスに僕も薫も驚いた。礼拝堂に入ると、ゴスペルコンサートを楽しんでふたりでお礼を伝えた。
さすがに挙式の日取りはいつにするのか聞かれずに済んだけど。

母さんが予約したホテルに着くと、チェックインをすると、”ホテル最上階のバーに予約”があるそうだ。また、どうして?と母さんの演出に笑いが零れる。
僕と薫は部屋を出ると、外の景色が一望できるシースルーなエレベーターに乗り込んで上を目指した。

「福岡の夜景って素敵ね」
『うん、綺麗だね、僕も久しぶりに見たよ』

僕と薫は寄り添いながら外の景色に目を奪われた。バー受付に名前を告げると、予約席に案内される。
正面に見えるのは、つややかに磨きこまれたバーカウンター。その奥には世界各国の銘酒のボトルが並び、背面の鏡や照明に美しく彩られていた。
座り心地の良さそうなふたりがけのソファの横にサイドテーブル、その上にはオレンジ色の柔らかな光がボ~ッと揺れていた。
窓の外一面に煌びやかな夜景が広がり、そのソファーにふたり腰掛けて 窓の外一面に煌びやかな夜景を眺めた。

『何飲む?』
「・・あなたに任せるわ」

薫にはマティーニの女性版とでもいう甘めのカクテル”マンハッタン”をオーダーしてあげた。
『甘いから飲みやすいはずだよ、まぁ酔っても今夜は僕だから大丈夫だしね』

カクテルグラスの中にはレッドチェリーが飾られている。薫はそのカクテルグラスを口につけながら僕を見た。
僕の瞳はすでに薫だけを見ていたのだが。

「うん? なあに?」
『薫と一緒にいれて幸せだなって』

僕は惜しげもなくストレートに愛を囁いてしまう

「何だか、恥ずかしいわ。俊、見すぎ」

僕がそう囁くものだから、彼女は耳まで真っ赤にさせて、恥ずかしそうに目を逸らす。僕は薫の手に持たれたカクテルグラスを受け取ると、サイドテーブルに置いた。そして、薫の肩に手を回して彼女を僕に引き寄せる。

『母さんに感謝だな。二人だけのクリスマスの夜をプレゼントしてくれるだなんて、、そう思わない?』
「うん、そうね」