「意識は? 呼吸は?! ああ、良かった。」

部屋に入ると、白衣を着たその男性が子供の前で安堵の表情でいた。そして部屋に入って来た僕をみて驚いた顔をみせる。

「あの、、あなたは?」

その男性が、僕に話しかけるのを聞き薫が表情を変えた。

『片瀬と言います。薫さんの友人で、たまたま優人くんの緊急に立ち会って処置をさせてもらいました。お子さん、もう大丈夫だって思います』

「そ・・そうですか、あなたが片瀬先生ですか・・・お名前は木村から聞いていました」
『木村? ああ、木村優一ですか?』
「ええ、、友人なんです」

その男性は僕の名前を聞いてから、何か思い出したように言った。

「あっ、僕は、小児科医してるんです。あっ優人くんの主治医で、あの・・坂本と言います。」

『主治医? あの、、薫のご主人じゃ?』
「俊!違うの。 後で説明するから・・」

薫が焦りながら、そう言うと坂本というその男性が困ったような笑みを浮かべると、僕を見て話しだす。
「僕は、優人くんの主治医です。もちろん、薫さんの夫になりたかった男ですが、なかなか首を縦に振ってくれないんですよ。それにしても驚きましたよ。優人くん、あなたに似てますね。そっくりだ」

坂本先生は そう言った後で優人を診察してから、今後について説明し静かに部屋を出て行った。部屋を出る前に薫の傍に近寄り僕には聞き取れない小声で話していたのが気になるところだが。