「・・・・・・・・あの・・・お母様、この子は俊さんの子ではなくて・・」

「嘘でしょ?!薫ちゃん、 だって、こんなに俊ちゃんにそっくりなのに? 私は俊の母親よ! あの子を育てた親よ。この子の寝顔なんて、俊ちゃんの小さい時そのモノなのに、間違いないわよ」

「・・・・でも・・・ちが」
「薫ちゃん、俊ちゃんに言ってないの? あの馬鹿息子ったら、薫ちゃんの言葉を鵜吞みにして自分の子供じゃないって思ってるの?」
「さっきの方が言ってたわよね?!女性が一人で子供を育てて生きていくには、厳しい世の中だって。 ねぇ、、まさか、今までずっとひとりで?」
「・・・・」
「なぜ、薫ちゃんがこの子の事を、俊ちゃんに言わずに育ててるのか私にはわからないけど、薫ちゃん、それは間違いよ。薫ちゃんはひとりで産んでひとりで育てて、そう思ってるんでしょ? でもね、この子が大きくなったら何ていうつもり?」

「お母様、お願いします。この子の事は」
「私に口を出すなって事?! はぁ~あの馬鹿息子、呼んで」

「お母様ッ! それは止めてください。俊さんには 何にも関係なくて」

「あるでしょ? 薫ちゃん、あの事件の後で警察からウチに電話あったのよ。被害者の女性は、私たちをかばおうとして告発したみたいだってね。あのままだったら、うちのお父さんの医院もつぶされてたんだってね。まぁ、もともと小さな医院だし、どーって事ないんだけどね」

「お母様、それは、、」
「あの時はまさか、薫ちゃんが俊ちゃんと別れてたなんて知らなかったし、そしたら、あの馬鹿息子が突然に外国に行ってね、」
「確かに、そんな事も告発の理由の一つでしたけど」
「俊ちゃんの将来も奪われるから、、でしょ?」

「・・・・・・そんな」
「おしゃべりなお巡りさんでね、ちゃんと理由を教えてくれたわよ。勿論、他言しないって条件でね、だけど、薫ちゃんたら 俊ちゃんと別れて」

お母様が両手で顔を覆って涙を隠す。

「お母様・・」
「俊ちゃんが外国に行って、私だけじゃ薫ちゃんに会うこともままならないし、そうしてるうちに、もうあれから2年半でしょ? 偶然にここで会えたら良かったけど、、何と、俊ちゃんそっくりのこの子に出会うし、泣き顔がまた似ててね」