〔I Believe.〕


「・・うん、優人くん、調子がイイですね。これじゃ薫さん、年内にも薬は一時止めても大丈夫ですよ」
「本当ですか?」


優人の食物アレルギーはアレルゲンをある程度確認できて
数ヶ月かけて内服治療してきたから、坂本先生のそんな言葉に私はとっても嬉しかった。
優人を抱っこして きっとわからないだろうけど話しかけてしまう

「優ちゃん、良かったねぇ、これで苦い薬を飲まなくてすむよ~」


私のそんな声の調子がわかるのか、優人がニコニコしてる
男の子だからか、優人はなかなか発語が少ない。
保育園に来てる周りの同じ位の女の子なんて、とってもおしゃべりで
会話だって母親と出来てるって良く聞いたりしてる

「・・あの坂本先生? 優人なんですけど、言葉が遅いと思いませんか?」

坂本先生が 私を見てきて笑顔を向けた

「う~~ん、薫さんも医者なのに、身内の事になると普通のお母さんになってしまうんですね」

「えッ」

「大丈夫ですよッ! 優人くん、ちゃんとお話しするようになりますから・僕には時々話すけどなぁ~・・ねぇ、優人くん?」
「はい?・・本当ですか?」

坂本先生が優人に優しい笑顔を向けていた。私の言葉で
その優しい微笑みを私に向けて 小さい声で言った

「・・・男同士の話ですから・・秘密ですけどね」