木村先生は 頷きながら笑顔を向けて言った
「でも、優人くんは先輩の・・でしょ?」
「・・・・・・」
「先輩は知らないんですか?」
「・・・・・」
「あ~ッ薫先生が先輩を嫌いになって別れたのかと思ってましたよ。その様子じゃ違ったみたいですね、ああ~~ッ・・また余計な事しちゃったよ」
「えッ?・・何を?」
「いや、まぁ・・イイですけど、あッ・・先輩がこっち向いてる!」


木村先生がそう言いながら、俊に手を挙げた
俊が私たちに笑顔を向けて壇上から大声で叫んだ

『木村ッ! いいかッ! そのまま・・そのまま待っててくれ!』


木村先生が俊を見て OKのサインをする
そして、私に振り返り 小さな声で言った

「薫先生、・・ですって。このままここにいて下さいよ」


記者のインタビューに写真撮影に応じる俊をじっと見ていた

あれから・・2年、 会いたくて会いたくて仕方がなかった人
 世界中の誰よりきっと・・・


最後の記者の写真撮影、そして 会場の席には私と木村先生が座っていた
記者が会釈して帰ると、俊が私と木村先生に笑顔を向けた
そして壇上から降りて、私と木村先生の元へ近づいて来る

5メートル・・・3メートル・・・1メートル
あなたの優しい瞳が しっかりと見れた