〔一期一会〕


人生の中で一回きりの大切な出会い

僕の場合、それが薫との出会いだとしたら
僕はどうやら、取り返しのつかない間違いをおかしてしまったのかもしれない

あんなに心から愛おしくて、大事に思った女性(ひと)は彼女、薫だけだったから。



舞子から聞いた突然の事に、僕の頭は急激に過去に戻る

「かおる?って・・お姉ちゃんの事も知ってるの?」


僕は何も言えずに、舞子の言葉にただ驚き舞子を凝視した
『・・あっ・・ああ・・うん、知ってる』
「そ~なんだぁ、まぁね、お姉ちゃんもパパも医者だから、どこかで会う事もあるわよね」


僕は その後、舞子の声を聞いて、舞子の話に耳を傾けているのに
頭のどこかで薫のことばかり考えていた。

目の前にいる舞子が薫の妹だったなんて
なんて神様は意地悪なんだろう

今は僕の口から、薫と僕の事を舞子に言うべきではないと思った。っていうか、ナンと言えばいいのか解らない。そのままを言えばいいのだと思うけど、舞子の僕への想いをはっきりと告げられて。
上手い言葉なんてないけど、どうしても言えなかった。
舞子の告白よりも、薫の事ばかりが気になり、どうしても僕の心がざわついていた。
一番マズいのは、僕は舞子に今の薫がどうしてるのか聞いてしまいそうだった。それぐらい、周りの事が考えられない状態になってしまう。