『最初、わからなくて、、今の君はもっと綺麗だし、、って僕は何を口説いてるんだろうね』
「・・・」

今の言葉は心臓に悪い。社交辞令にしても、こんなシチュエーションで言われたら、きっと誰もがときめいてしまうんじゃないだろうか。

『さっき実家って言ってたけど』
「ええ、そうなんです。世田谷は実家で大学入学と同時にやっと独り暮らし出来て」
『そうか、僕は実家が田舎だから、こっちではずっと独り暮らしなんだ。まぁ、独りは自由だけどね』

自由、、確かに。彼の自由は意味が違う気もするけど。だってこのスマートな対応は、どう考えても女性慣れしてるでしょ?

『雨の降り方、酷くなってきたね』
「本当に、助かりました。ホテルを出たら雨だったから、、でもわざわざ送って下さるなんて申し訳ないです。」
『いや、実は思うところがあってね。せっかく出会ったのに二度と会えないのは、なんだか、、ね』

彼も私ともう少し話したかった? 飾らない言葉で自分の思いを伝えてくれる。父親が倒れたって聞いて急ぎ帰っている中なのに、途端にまたドキドキしてしまう。冷静にならなくちゃ。私、ちょっと自意識過剰になってる?

俊だって思っていた。この気持ちは何だろう、と。
今までだって 僕の周りには 少なからず多くの女性がいた。だけど、こんな風に性急に女性に興味を持ったのは初めてかもしれない

「あの、、」
彼女が知的な雰囲気に戻ると、僕に聞いてきた

『うん?何?』

運転しながら 私に優しい視線を向ける彼