『失礼だなぁ~ッ! もしかしたら、その恋の方かもしれないだろ?』
「へぇ~~、もう私と俊先生が知り合って半年が経つのに、先生の周りには 女性の影なんてまったくないし、メス猫だって寄ってきてないわッ!」
『あはッ・・バレてるか。それで相談事って?』

「うん・・あのね、もうすぐ半年って言ったでしょ? 実質、アメリカに留学してから9ヶ月経って、そろそろ帰国なの」
『帰国?そうか・・』
「寂しいでしょ?」
『うん、そりゃね。まぁ、でも落ち着いて仕事が出来るようになるかなぁ?』

ぷ~と膨らんだ頬をして、僕を可愛く睨んでくる。
「私がいなくなったら、誰が俊先生のお仕事中断させてご飯に誘ってあげるって言うの? 俊先生なんかオジサン、こんな若くて可愛い私がお世話してるのに、これからが心配になっちゃうじゃないッ!」

『あははッ本当だね、僕は一人きりだ』

「それでね考えたの私、一度は日本に戻るけど、またこっちに戻って来ることにしたの。いいでしょ?」
『・・・ん? 舞ちゃん、僕にいいでしょって聞かれてもなぁ~』
「俊先生私ね、俊先生と同じ場所で勉強したいって思うの。来年からは学部を医学部に変えてチャレンジしようって思うの」
『舞ちゃん、それは医者になりたいって事かな?』

「うん、そう・・本当はね、医者に対しての偏見があったんだけど、
ココで俊先生の仕事をみてたら、なんかいいなぁ~って思って・・」
『そうか・・』
「だから、日本に帰ってから家族に説明して、またココに戻りたいの。俊先生は協力してくれる?」

『協力はするけど、何もココでなくても、日本の医学部の方が僕は良いと思うけどなぁ。それに家族がいるなら尚のことだとあっちがいいよ』
「家族はいいのッ! みんな私の事なんて気にもしてないわッ!」

僕が日本の医学部を勧めると、舞子は大声で拒絶する。どうも、家族との関係がギクシャクしているようだった