「あの~ッ・・良かったらお茶しませんか?」

”うん?・・・・僕に?聞いてる?!”
確かに僕の近くで、そう日本後で話しかける言葉に、顔に置いた本を少しだけ
ずらして片目を開けて見た。


『僕に声かけてる?』

そう聞いて、自分自身を指差してみる
その子がとっても可愛い笑顔で、僕に首を振ってみせる。


”もしかして・・これ、逆ナンじゃあないのか?”

『あはッ、お茶ならさっき飲んだばかりでね』
「・・それなら、お茶じゃなくて、お食事にしません?」
『ええ!?あ~ッ・・』


そう言い変えるその子に、思わず苦笑いしてしまう
可愛くて若い女の子に逆ナンされて、嫌がる男がいるだろうか?
そう、なかなかイナイ。
でも、僕がなかなかOKの返事をしないモノだから、その子は言った。


「ふ~ん、日本人のオジサンは皆、若い子には下心ありだって思ったのに・・
あなた、違うのね? もう、いいわッ!別の人に声かけるから」
『あッ・・・えッ・・』


そう僕に言うと、さっさと後を振り返り歩き出した。
僕は、久しぶりの心地良い日本語に酔いたい反面
女性と向き合うのが怖かったのかもしれない。

僕と舞子の出会いは、こんな所から始まったんだ
舞子が僕の愛した薫の妹だと知る由もなく・・・