大月は、僕の過去を薫に言って乱暴を働こうとしたあの日、大澤学長にあったそうだ。僕が坂上教授と企みを持ち、薫を弄び捨てようとしている事、僕の人間性や価値観を歪ませた話をしたそうだ。その上、自分は薫と男女関係があり、そんな薫の事を世間に伝えてもいいのかと脅迫したようだ。

あれから、大月は大学病院へは顔を出すことはなかった。そして、すでにその時は坂上教授を裏切っていたのだが、大澤学長が意識を失っている状態での復帰はないだろうと考え再び坂上教授のもとに戻ったのだと。

僕が言う事を聞かないから坂上教授も考えが変わったのだろう。大月の教授昇進をエサにして、それで脅しだと薫への犯行を坂上教授に指示された。

薫はあらゆる証拠を用意して告発したんだ
そして幸せだったあの夜に、薫に犯罪(らんぼう)を犯した事が明らかになった。


言葉で言い表す事ができない程、悔しくて苦しくて、気が変になりそうだった。
薫は、僕との別離を望んだ。
”会いたくない”と父親である学長に言ったそうだ。

何故、会ってくれない? 僕に会えない、会いたくない理由がわからなかった
事件が君をそんな風に変えた?だけどそれを含めてぜんぶ
それでも僕は今のままの薫を愛してる。だけど、その言葉は永遠に届かなかった。

何度も何度も、彼女に会いたいとお願いした。
だけど、その願いは一度も叶わなかった。