次の日、大学病院では大変な騒ぎになっていた。現役の学長がAMIで搬送され、今CCUで意識不明の状態なんだから。
僕は早速坂上教授に呼ばれた


「君が一緒に救急車に乗り込んでいて、緊急で処置をしたッテ聞いたが本当かね?」
『はい、そうです。』
「まぁ、医師なら目の前の患者は何が何でも助けたいだろう・・しかし、相手は誰だね?私のライバルなんだよ。わかってるのか?」
『・・・・』
「まぁ、良かろう。もう、意識は戻らんだろうから。ところで、昨日は娘の綾子を楽しませてくれたのかな?」
『教授、その事ですが、僕にはお嬢さんを幸せにはできません。私には心に決めた女性がいます』
「学長の娘かね?」
『はい』


俊の言葉に眉根を寄せると、
「わかっているのかな? 学長はもう間もなく、この私になるんだよ! それなのに、私の娘より、あの大澤の娘を選ぶのか?」
『はい、学長だからではなく、、』
「君は本当に珍しい男だな。まぁ、そういう所も好ましいだがな。でも、私にも考えがあるんだよ。いいのかな?大澤薫がどんな事になっても?」

『教授、それはどういう意味ですか? 彼女は学長選とは関係ないはずです』
「いいや、あるんだな。目障りなんだよ、大澤の娘がな! いずれ、此処にいれば私に刃向かう事になりかねない」
『彼女は何もできません、教授、そんな事やめてください』
「フン、それなら私のいう事ききなさい」
『・・・』
「気持ちが変われば話して来なさい。出来ないのなら、君も覚悟するんだな」