週末でない夜の都内は、道も混雑してなくて早く着く。インターホンを押して返事を待つ間、俊を見上げた。


「こんな真夜中に家族に紹介する事になるなんて、思ってもみなかったわ」
『・・そうだな、緊張する』

玄関のドアを開ける音がして、門が開かれたると同時に中から義母が顔を出す。


「薫さん、良く来てくれたわ・・あっ・・・あの・・こちらは?」
『こんばんは、薫さんの同僚の片瀬俊と申します。夜も遅かったのですが彼女が心配で、迷惑を承知で付いてきてしまいました』
「そう?・・・ええ、どうぞ、お入りください」


実家に連れて来た初めての男性に驚いている。無理もないけど・・
俊にだけ聞こえる声で 言った


「彼女は父の奥さんで、私の妹の母親よ」
『ん?・・何だかややこしいなぁ』

義母が俊の声に反応して 振り返ると『ああ、何でもないです』って彼は苦笑いした
リビングに通されて、父がソファに腰掛けて待っていてくれた。


「パパ、身体の方は大丈夫なの?ねぇ」

父は私の質問に答える様子もなく、私の後に立つ彼を見て驚く


「あっ・・パパ、彼ね、夜遅いからって私を送って来て下さったの」
『はじめまして、こんな夜分に申し訳ございません。薫さんの同僚で片瀬俊と申します。ご迷惑を承知で強引に付いてきました』
「・・・・そうか、片瀬俊ってのは君か?!」