「何するんですか!?」

「ねぇ、薫先生、僕たちふたりで協力してアイツらに復讐しよう。
ね、反対に君がアイツを騙すんだよ。そして、何としても学長には大学に
戻って来てもらおう。僕たちのために・・」

「離してください。手を離して!」

大月先生が掴んだ私の腕を振りながら、腕を離すように大声を出した。
だけど、大月先生は、尚のこと私に密着して私を机の前まで追い詰める。
私を見るその目が血走り、もう異様で恐怖を感じて動けない。

「何で、そんなに嫌がるんだい?僕は本当の片瀬を君に教えてあげたんだよ。
お礼ぐらいされてもいいのに、ねぇそうだろ? 薫センセイ」


そう言うと大月先生は私に抱き着いてきた。自分の身体を乗せると、私の両手を押さえつけて俊の机の上に倒されてしまう。そして、私が逃げようと努力する前に机の上にあった鋭利なクーパーを手にすると、私の顔にそれをすべらせる。

「薫センセイ、静かに。大声あげたら他の誰かに僕たちの
こんな所知られちゃうよ」

「いや、やめてください」
「君がおとなしくしてれば大丈夫、無理な事はしないから」

口を手で塞がれ大月先生の上半身で私の自由が奪われる。私のブラウスのボタンにその鋭利なクーパーで突き付けると、パチンと音がして胸元が開く。

「君がね、声が出せないように口をこのテープでとめてあげる。我慢するんだよ。アイツの机の上で犯されるって・・イイだろ? 綾子も今頃、アイツと」

恐怖で足がすくみ、奥歯がカタカタと鳴り、大声を発することができない。

「イヤ・・狂ってる。 俊・・たすけて」 

バタン

医局のドアが開く音がした。他科の医師が数名入って来たようだが、私のいるブースとは別の方へ足音が遠ざかった。でもそのおかげで、大月先生は私から慌てて離れるとそそくさとその場を出ていった。

私は暫くその場から動けないでいた。
手も足も震えが止まらない

涙が止めどもなく流れ、俊に会いたい、そう思った。