「それが本当なんだよ。教授は片瀬を綾子の婿にって思ってる。だから、
アイツをここに呼び戻したんだッ・・くそッ学長が倒れて、僕が協力すれば、
・・僕が教授になるはずだったんだ。なのに」

「それは、どういう事ですか?」

大月は薫を見てニヤリとすると言った


「片瀬と君はどうやら仲がよさそうだな? でもな、片瀬は最初から君を騙すために此処に来たんだよ。坂上教授に頼まれてね。 君に近づき、君をボロボロにして医師としての役目も果たせなくなったら捨てる。そう指示されていたんだ」

「う・・・うそ・・うそよッ!」
「嘘なんかつくもんか! 本当の事だ」

震えが止まらない、まさかそんな事があるはずない。
俊は、俊は私を好きだって、そう言ってくれたわ。


「オンナを騙すなんて アイツならお手の物なんだよ!
それにアイツのオンナに先に手をだしたのは僕だからな・・復讐しやがった」
「彼のオンナ?復讐?」

「ああ、医学生の頃から美香とは仲良くて、あの二人はお似合いだったよ!
だけど僕が、その美香を取ったんだ。美香を取られた片瀬の奴、見物だったよ。
かなりの落ち込みようで、ふふッ・・・いい気味だった。でも、それを恨んで
今の僕の地位や将来を壊そうとするなんて、アイツは酷い男だ」

何なの?・・・私の知らない彼がいるって事?
美香って誰? 俊の彼女で、でも大月先生に取られた?
それを恨んで大月先生に復讐?そして学長である私の父を追い出すために
この大学へ来たって。
そして私を騙すために?いやだ、そんなの信じられない。

大月先生が私の腕を掴んだ。
そして、口角を上げニヤリといやらしく笑う。