さっさと歩くと次第に生徒の数が増える。
ブレザーを着崩した男子生徒たち
すでに親しげに男女で話している人たちも多いように見える。
今までは男子は裏門からの登校だったはず、それも変わったのか。
ふぅ…っと息を吐き、平常心で靴箱へ向かおうとした時、微かな声が聞こえた。
バッとそっちを見るが、何もなく。
もう一度弱々しい声が聞こえ、靴箱へと向かう人の流れを横切るように声が聞こえた方へ進む。
「〜〜わあっ!かわいい〜!」
そこには真っ白な子猫がいた。
みゃあ、みゃあ。と必死に鳴いてる姿に、慌てて側に座り、辺りを見渡す。
…親とはぐれたのかな。
必死に鳴く猫ちゃんをどうしたら良いか分からない。
校舎内に連れ込む訳にもいかないけど、このままにしておくのも心配だ。
見たところ弱ってなさそうだけど、このまま親と合流できなかったらこの子は生きていけないはず。
みゃあ!と鳴きながら私の膝に乗ろうとするのを見てたら、鞄にお昼用に持ってきたパンがあることを思い出す。
必死によじ登る猫ちゃんをスカートの上にそっと乗せて、小さくパンをちぎり口元へと運ぶ。
「美味しい?」
よほどお腹が空いていたのか、子猫にしてはものすごい勢いでパンを食べていく。
邪魔しないように小さな小さな頭を指でそっと触ってみたり撫でてみたり。
写真を撮りたいと携帯を手探りで取り、ホーム画面を見てぎょっとする。
「やばい!結構時間経ってる!」
普通の日ならまだ大丈夫なのだが、今日は始業式の日だからまず自分が何組なのか確認しなきゃいけないんだ。


