…まさか私が腕を痛めたところを見られてたなんて。
「…大丈夫。」
「そっか、良かった…。」
すぐに会話が終わり、戻ればいいのに足が動かない。
何か、何か言おう。
「試合、すごかったね。いっぱいシュート決めてた。」
私がそう言うと結城くんの顔が上がって、また目がまんまるになってた。
「…見てたんだ。」
「うん。応援団の隅に混ざって。」
「そっか…。」
口元に手をやる結城くん
…そんなに意外だったかな。
私1人混じったって変わらないよ。あれだけいたら。
なんだか驚いてるように見える結城くんに心が荒みそうになる。
…可愛い子しかダメとか学校の王子的存在が言う訳ない。
と、自分を励ましながら、決定的な言葉を言われて傷つく前に戻ろうと一歩後ろに下がった時
「…俺、疲れてたんだけどさ。……応援してくれない?」
へっ?
応援して…?私が?
思わず周りを見渡して他に人がいないのか確認する。
…ほんとに私に言ってるみたいで、言った本人も口を押さえてびっくりしてる。
お互いに固まっていると、遠くから笛の音が聞こえてハッとする。
もうすぐ試合が始まる…。次は確か決勝戦
ドキドキしてる胸を落ち着かせることもできずに、慌てて口走ってしまった。
「け、決勝っ!…頑張って。……応援、してます。」
尻すぼみになりながらも、なんとか言えた。
「…………ありがとう。元気でた。」
今まで見かけた人当たりの良い笑顔じゃない。
漏れ出たような、優しい笑顔
声も優しくて柔らかい。
呆気に取られてる私を見て、また小さく笑って、結城くんは走って行ってしまった。


