一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】

姫野さんの家に着くと、ライムとレモンから熱烈歓迎された。

撫でていると、ちぃちゃんへの罪悪感を感じた。
もう少しちぃちゃんを撫でてから家を出る事も出来たけど、なんだか家にいたくなかった。
帰ったらたくさん撫でようと思っていると、姫野さんがアイスコーヒーを差し出してくれた。
昨日とは違う豆だというアイスコーヒーは、ほろ苦かった。


「これで直ったと思うけど、もし何かあったら連絡してね」

「ありがとうございました。
すごいですね、今までよりすごく速くなりました」

「良かった。こういう事だったらちょっとは役に立てると思う」

「ちょっとじゃないです。
すごくすごく、助かりました」

PCは起動も操作も格段に速くなった。
もう、あの起動時のくるくるしたマークに悩まされないで済みそうだ。

それにしても、一昨日初めて会ってから三日も連続で会っているのは不思議な感じがする。
姫野さんは「PCいじるの好きだから、気にしないで」と笑ってくれたけど、貴重な有給を自分に使ってもらって良いんだろうか……。

「初対面が一昨日で、そこから三日連続で会うって、なんか不思議だね」

「今ちょうど同じ事を考えてました。
口に出していたら、ハッピーアイスクリームでしたね」

そう言って笑うと、姫野さんは目を丸くした。