一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】




「初めまして、姫野(ひめの)です」

餃子カレーパーティー当日、玄関で出迎えたクロエさんの友達は、俺を見下ろして微笑んだ。

「……初めまして、アオイです」

こんなに背が高い人に会ったのは、初めてかもしれない。

「アオイちゃんは……あ、アオイちゃんって呼んでも良いかな」

「はい」

ちゃん付けで男性から呼ばれるのは、いつぶりだろう。
幼稚園以来じゃないだろうか。

「アオイちゃんの事はナナくん…あ、七星ね。
ナナくんから少し聞いて、会ってみたかったんだ」

「七星さんと親しいんですか?」

「今日みたいに何人かで集まってるうちに、徐々にね。
たまに2人でも会うし。
ナナくんって弟みたいで構いたくなるんだよね。
僕、弟と妹が合わせて4人いて」

「4人ってすごいですね、にぎやかそう。
うちは妹が1人います」

「へぇ。じゃあ、お姉ちゃんなんだ」

「ああ…そうですね」

お姉ちゃんと呼ばれた事は、あまりない気がする。

別に、男になりたいわけじゃない。
男だったら茉莉香は好きになってくれたかな、とは何度も何度も考えたけど。

背が高く、女にしたら骨ばっていて、顔も中世的。
スカートは好きじゃなくて、髪はのばしても鎖骨にかかるぐらいまで。
私とかアタシという一人称には馴染めなくて、一人称は子供の頃から俺。

そのせいか、家の中ではお兄ちゃんと呼ばれてきた。
お姉ちゃんという言葉は、自分には不思議な感じがする。