瑤子さんは、自分とクロエさんがどういう親戚関係なのかを説明してくれた。

瑤子さんはクロエさんの母親と遠い親戚で、性格は真逆だけど馬が合い、家が近かった事もあって、お互いが家庭を持ってからもずっと交流が続いたらしい。
クロエさんの母親が亡くなってからは、会う頻度は減ったけれど…と瑶子さんは言った。

クロエさんが母親を亡くしているなんて知らなかった。

自分からクロエさんの家族について聞いた事はなかった。
クロエさんからも、俺の家族について聞く事はなかった。

無意識に、聞かないようにしていたのかもしれない。



「アオイちゃんはクロエと暮らして、二週間くらい?
暮らしてみて、どう?
アオイちゃん疲れてない?
異性と一つ屋根の下って、いろいろ神経使うでしょう。
まぁ、この家は広いからパーソナルスペースは充分あるけど」

「疲れはしないですが……」

「ですが?」

「疲れはしないですが、もう少し家事とか手伝いたいです。
クロエさんが全部やってくれて、申し訳なくて」

「あの子、昔からそうなのよね。
人に頼りたくないって意識が強すぎるみたいで……もう少し人に任せたり、頼ったら良いのに。
あずさと足して割ったら、丁度良い感じになるわね」

瑤子さんはあずささんが忘れていった口紅をつまみ上げ、頬を膨らませた。
瑤子さんはクール系の美人だけれど、仕草がチャーミングで親しみやすい。

「単刀直入に聞いちゃうけど、アオイちゃんはクロエの恋人じゃないの?」