一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】

気が付くと、お互いの指も脚も絡み合っていた。
自分からそうしたのか、クロエさんからそうしたのかわからないけど、それはなんだかとても自然だった。


クロエさんの熱や呼吸、肌の湿度や香り。

すべてに慣れてしまったかの様に、身体が受け入れている。


「強気だったのに、今日も言えない?」

そう言ってクロエさんが舌先で耳を舐めると、一瞬で全身が強張(こわば)って、さっきよりも大きく声が出た。

唇が這っていた耳を、今度は舌が這う。
生暖かい舌に混じって、無機質な金属の感触がした。

柔らかい舌に、ピアスのボールに、這う度に漏れるクロエさんの息。

耳は敏感に全てを感じ取り、身体はその全てに反応する。


次第にクロエさんの息遣いも荒く、熱っぽくなっていった。

ぼんやりとした頭で、自分も何かした方が良いのかなと思った。
だけど、どうして良いのかもわからないし、ましてや聞く事なんて出来ない。


「……プレゼントには、リボンが必要だよね」


感情のこもっていない声でそう言うと、クロエさんはテーブルにあった深紅のリボンを手にした。

ちぃちゃんに買ったおもちゃのラッピングに使われていたリボン―――。