呟いて、もともと近くなっていた距離をさらにぐっと詰めてくる。
びっくりして仰け反ると、廊下の壁に背中がとん、と当たった。
「なあ、今からでもやらへん?」
「へっ? な、何を」
「アイドルでも、モデルでも、女優でも、タレントでも、なんでもや。うちのマネージャー通して事務所にかけ合えば、今すぐにでもデビューできるはずやで」
「お、お世辞はけっこうですよ……!」
正真正銘の芸能人に気を遣われるなんて、いたたまれない。
すると、相馬さんの手のひらがガッと勢いよくわたしの肩を掴んだ。
「冗談ちゃうて。マジで言うてんの。てゆーか、キミ、よく今まで一般人として生きて来れたね? スカウトとか、されたことないん?」
相馬さんが私の肩を揺さぶる。
容赦ない力加減で、視界がぐわんぐわん歪んで、頭はくらくら。
ど、どうしよう……。
困り果てた、その瞬間、相馬さんから「ぎゃっ!?」と悲鳴が上がって、肩から手が離れていく。
まだ、ぐらぐら揺れている視界で、なんとか状況を把握しようと辺りを見渡すと。
「おい。誰の許可得て、せーらに触ってんの」



