甘くてこまる




というか、見たことなかったかも。

誰かが告白されるところ、なんて。




紘くんに限らず、郁も。



郁の場合は、女の子たちにはよく囲まれていたけれど、あくまであれは真剣告白じゃなくてミーハー的なやつだと思うし。




「ほんとに? 千坂はもともと人気あるよ。能面なところが玉にキズって、みんな離れてくからイマイチわかりづらいけど」

「そう、なんだ」




知らなかった。

紘くんがそんな風に、注目されていたとか。



少し離れたところから、まじまじと紘くんを見つめてしまう。

頭のてっぺんからつま先まで────と視線をすべらせていると。





「せいら」

「……ぅえっ」





ふいに紘くんに名前を呼ばれて、変な声が出た。



な、なんで。

下駄箱で隠れていて見えないはずなのに。





「なんでわかるのっ。わたしがここにいるって」