子猫に餌をあげていたところを誰かが目撃していたに違いない。


西原くんはただでさえ目立つし、その上田中さんをこっぴどく振ったことで立場が悪くなっている。


そんな中、私と西原くんが一緒にいるところを見られたのだ。


最悪だ……。


全身から血の気が引いていく感覚がする。


誤解をときたいと思うけれど、焦ってしまって頭がうまく働かない。


それを見ていた田中さんたちのグループが近づいてきた。


「すぐに答えられないってことはそういうことなんだよね?」


仁王立ちをして私に詰め寄ってくる。


その視線は私を射抜いてしまいそうなほどに鋭い。


「ち、違うの!」


ようやく声を絞り出したけれどもう遅かった。


田中さんたちは私を敵とみなして攻撃態勢に入っている。


このままじゃまずい。


「わ、私は子猫にミルクを上げてただけなの!」